はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

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羽田さん通信

危機!? 2018 分娩施設事情

2018年05月20日 | 未分類 | 

2018年5月20日 日 晴れsmiley

5月の日曜日
天気良好で風強め
五月晴れって言うんですかね?

病院の方は5月枯れ(?)で入院患者さんは少なく、平穏な休日です。
お暇にしている日勤の助産師さんに少し早く上がっていいよ、なんて声かけちゃいまして
忙しくない上に、こんないい天気の日に、きっちり時間までいなさい!というのもね~ なんだか気が引けて
(日本の経営者としてはダメ発想かな?)

病院は経営的には忙しい方が良いのですが、こういう休息も必要なんです。
特に産婦人科業は・・・
ぼく個人的には、新任の後藤先生がしばらく不在で、その間は静かな診療状況でいてくれるとありがたいのですが・・・

さて、5月いっぱいで札幌市内東側の産婦人科クリニックが閉院するというニュースが聞こえてきました。
もう15年くらいは診療してきた医院ですが、当院とは地理的には札幌市内の反対側。
あまり患者さんの増減については影響なさそうです。
(あ、近隣の分娩施設でも年末から分娩制限するとかいう噂もありました。そちらはわずかな影響あるかもしれません)

個人でやっている医院(有床診療所)の閉院や分娩取り扱いの中止って、院長先生の年齢的なものだとか健康面だとか、施設の老朽化やスタッフが確保できないなんてことで起こります。
急な閉院の話を聞くと「明日は我が身」と少しばかり先行きの不安がないわけではない。
それぞれに事情があるので仕方ない・・・って言うしかないでしょうね。

ただ、僕が問題だなと考えている事が、札幌市内の分娩施設数の減少について。

産婦人科医師の減少が叫ばれて早10数年
北海道では、分娩施設の集約化や廃止が相次いで、地方の町で出産できる街はとても限られて来ています。
例えば札幌から国道5号線を函館方面に進むと 小樽、倶知安、八雲、函館しかお産できる街はない。約350㎞の間にです。

これは札幌市内でもいえる話で、ここ数年、毎年ほぼ1件ずつ分娩施設が減っています。
個人病院が減っているだけなら、患者さんが大病院志向になった結果と受け取ることもできないわけではないと思いますが、大病院の産婦人科医も、特徴お出して人集めのできている病院以外は軒並み欠員が出ている状態です。結構みんなヘロヘロだと聞きます。
つまり、本当に産婦人科医が足りない!!のであります。

ただ、最近政策的にお金が流れていく不妊治療のクリニックは増加の一方。
数年前から札幌市内をはじめ各自治体で少子化対策の一環に、自費診療でお金がかかる不妊治療については、限度はありますが初回数10万円、2回目以降も10万円の助成金を出していたりします。
助成金で患者さんが不妊治療を受けやすい→患者が増える→医者やスタッフが足りない→不妊治療の病院やクリニックには医者が集まるの構造です。
これは良いことなんですよ。ホント

しかし、本当に経済的に困っているのは子供をたくさん産んで育てている家庭だと思うんです・・・
児童(旧こども)手当はありますが、それなりの援助といった感じで、子供の多い家庭には今のところしっかりした国や地方の支援があるとは言い難い
不妊治療の助成金は多産の人には縁のない政策なんですよね

話がそれてしまいました・・・
偏った助成金や、(不妊治療への助成金のような)見栄えの良い政策でもともと少ない産婦人科医がそちらの世界に流れて行ってしまっているように見える今の現状に分娩施設の長としては不安を感じるのであります
そして国が本当に少子化対策が必要と思うなら、たくさん子供のいる家庭の負担を減らしたり、分娩施設で昼夜問わずリスクや出血と戦い頑張っている産科医にもやる気を出させるような政策を考えていただきたいものです。

作るとこ(不妊施設)ばっかり増えても出すとこ(分娩施設)がなくなったら出産難民増えますよ!!

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