
日赤臍帯血バンク新記録
2025年7月30日 水曜 晴れのち雪
今朝、カムチャッカ半島沖で大地震があったようです。地図上は震源に北海道が最も近く、根室などは少し揺れを観測したとのことですが札幌は「大地震発生」のニュースだけで揺れは全く気づきませんでした。地震の規模は東日本大震災に近いとの報道もあり、一日中日本に到達した津波のニュースで一杯でしたが、今のところ日本では大きな津波災害は起こっていないようです。ただ、ネット上にはロシアのある島の津波映像も流されていて、被災した人々の大変さを想像すると何とも恐ろしい自然の力と思い知らされるニュースです。
災害と言えば、7月も最終盤にきて連日「災害級の猛暑」と叫んでいるテレビ。札幌でも連日30度越えで、先週は35度を記録した日もありました。本州では40度を超す気温を観測するところもあるようで、年々暑くなっている気がするのは地球の自然な変化なのでしょうか?それとも人間が作り出してしまった災害なのか?
「命にかかわる危険な暑さ」とか、初めて耳にしたときは違和感のある表現で、警戒心を掻き立てると感じたけど、毎日聞こえてくると警戒も薄れてくるなと感じてしまうのは僕だけ?実際その暑さに見舞われた地域は大変だろうなとは思うけど、地球上にはもっと熱い土地もあって、暑さの質が違うとはいえ、僕がいた南米の44度の夏などは、服装は極めて薄着で、日中は外に出ず冷房の下や、木陰でまったり過ごしていました。そういう暑い地域から暑さを避ける知恵を学んだりする必要があるんじゃないかなと思うここ数年の日本の夏という気がします。
さて、当院の日常の話ですが、2024年の4月から当院では日本赤十字の取り組みである「臍帯血バンク」の血液貯血事業に参画しています。患者さんに参加の意思を確認して、可能であれば分娩直後の胎盤につながる「へその緒」から、60ml以上の血液を抜いて、献血用の血液バックにためて日本赤十字社にお渡しします。その血液の中に含まれる免疫細胞の数や、感染症の有無をチェックした後、白血病の治療に用いる臍帯血輸血の治療手段として使われるというものです。何もしなければただ捨てられてしまう臍帯血を、命に係わる血液の癌の治療に役立てることができる(かもしれない)取り組みで、分娩施設が減り、この取り組みに参画する施設も減ってしまっているという情報もあったので、当院も参加することにしました。
分娩直後の採血(貯血)は2~3分の時間をかけてためるんだけど、臍帯が太くて長い人、臍帯のねじれが強い人はたくさん採れ、逆に臍帯が短くて細い人はあまり採れないということがわかってきました。また、産後の出血が多い妊婦さんはなかなか粘らず途中でやめたりもします。当院では、貯血の目標量に達せずご協力の意志だけ頂く形の妊婦さんも3割くらいはいるかな?と実感しますが、誰かが助かることにつながるならと、我々スタッフも力を合わせて取り組んでいます。
そんな臍帯血バンクの貯血で、今月過去最多、圧倒的に記録更新した優秀な胎盤と「へその緒」を持った妊婦さん(Hさん)がいました。通常目標量が60ml以上の貯血を目指して、90mlも超えると満足の貯血量。ですがHさんの臍帯血は貯血マシーンが限界を超え一旦動作中止してしまうほどで、最終的にたまった臍帯血は当院で初めて200mlを超え。日赤に渡した後の細胞数のチェックもクリアしたようで、あとは感染チェックをパスすれば白血病の患者さんに届き、治療に使われることになると思います。
出産してみないと分からない臍帯血貯血の状態ですが、今までもたくさんの方に参加の意思表明を頂き、取り組んできました。この1年4か月で、当院の臍帯血が量的には北海道赤十字に集まった臍帯血の中でも最も多く「薬」になっているという定例報告も受けています。これもひとえに皆さんの善意の賜物。
今後も当院として、参画頂ける皆さんの善意を社会に届ける橋渡しを担ってまいりたいと思っています。ご賛同いただける方に置いては今後ともよろしくお願い致します。
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