はだ産婦人科クリニック【札幌市/西区・手稲区】無痛分娩にも対応

産科・婦人科・小児科(新生児)・麻酔科

羽田さん通信

日本産科婦人科学会参加の話

2026年05月18日 | 未分類 | 

2026年5月18日 月 晴れ

今年も中盤の5月。年を重ねるごとに時間の流れが加速度的に早くなっているように感じるのは中年の「さが」でしょうか。

今年も5月中旬は北海道の新緑真っ盛りの季節を迎えています。

この週末、札幌市内のホテルなど4か所において「日本産科婦人科学会」が北海道大学産婦人科教室が主催で開催されました。毎年日本全国の大都市を会場に開かれている同学会。北海道での開催は13年ぶりということでした。

僕も学会員として久しぶりに参加してきました。例年全国学会は病院を閉めてというわけにもいかないので、なかなか出席できないのが一人開業医のつらいところ。日本中の産婦人科医が集まる大きな学会。大病院勤務の時は頻繁に触れることができた最新の知見や、産婦人科の世界で話題になっている情報について学ぶ貴重な機会。せっかくの札幌開催なので土曜日の午前の外来診療は出張の先生にお願いして出かけてきました。

4つの会場で同時進行なので聞けないセッションもあるけど、後でビデオで聴講出来たりして、北大の学会関係者の皆さんの企画力と努力が垣間見える学会でした。

僕が興味をもって聞きに行ったのは、今の仕事のメインである産科・周産期がらみのセッション。

無痛分娩関係の話では、10施設を超えるいろんな地域の無痛分娩施設の現状や課題。臨床上の問題点などが発表されていて勉強になりました。ちょっと気になったのは、「普通分娩と比較して出血が多くなる」というデータがいくつかの大学や病院から提示されていました。原因はどうしてなのかという議論が発表者の間で討論されていましたが、無痛分娩ばかりを見ていて、以前から実体験として普通分娩より出血が少し多いと感じていた僕の解釈では、麻酔による交感神経ブロックが子宮でも生じ、産後の子宮の末梢動脈の収縮が抑制されてしまうからなんじゃないかと思っていました。子宮の止血機構は主に子宮筋の収縮させることで止まるとされていますが、その大本は子宮と胎盤がつながっていた血管(末梢動脈)。赤ちゃんがいなくなって、子宮の筋肉が収縮するとむき出しになった血管が圧迫を受けて止まると考えられています。硬膜外麻酔下では普通分娩と違い、骨盤の神経ブロック状態があり、血管平滑筋を収縮させる交感神経にもその作用は及び収縮が邪魔されるということではと考えています。だから、子宮収縮を促す薬を使っても、末梢血管事態が収縮を抑制されてしまい非無痛分娩と比べて出血が増えているのではないかと推察しています。

それを見越して、妊婦の血液が希釈されているのが生理的変化だ理解したうえで、当院では無痛分娩前には貧血の程度を普通分娩前の貧血程度よりも少し厳し目に設定して鉄材補充などの貧血改善を目指しています。

色んな勉強になる話があった中で、もう一つ印象的だったのが、妊産婦のメンタルヘルスについての話題。妊娠中から産後1年までになくなる女性の死亡の最大の原因が「自殺」であるという事実が7-8年前から話題になっていました。ここ数年の推移についてですが、毎年出生数が5~7%も減少しているのですが、妊産婦死亡は年間30例程度あり、妊娠中から産後1年までの妊産褥婦の自殺が60~45例もあって、コロナ禍より少しは減っているようですが直接的産科的死亡原因より1.5倍くらいになるというデータでした。

このセッションで、「妊産褥婦の自殺を減らすには?」という話題にも触れていましたが、対策としては「よく話を聞いて寄り添ってあげましょう」というもの。僕としてはメンタルをやられやすい妊産婦、特に当院のような無痛分娩施設に最初から来られる不安症でまじめな妊婦さんの心を守るため、情報に振り回されないように、家族とのコミュニケーションを大切になどとお伝えし、心を乱す前の対策が大事なのではないかと考えていますが、ホントに妊産婦の心って大事だなと改めて考えさせられました。

久しぶりに参加した学会でしたが、勉強の大切さと面白さを感じられた数日間でした。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)