臍帯下垂の話
2026年8月16日 日
8月上旬までは涼しい夏だと思っていたら、ここ数日は良く晴れ渡り30度を超す暑さ。残暑厳しい今年のお盆です。
当院は14日金曜日から今日まで3日間、外来診療はお休みにさせていただいています。妻と我が家のみんなはいとこたちが来てくれて、僕を残して札幌近郊に小旅行。僕は産後の入院患者さんの診察や、日々片づけられない書類の整理に追われてまったりお留守番生活をしております。皆さんはどんなお盆を過ごされていますか?
出版された僕の初の著書『大丈夫、出産は怖くない!』も出たての1週間は皆さんにいろいろとお声をいただきましたが、少し落ち着いたようで。これからは読んでいただいた感想や批評などを頂ければ嬉しいです。
さて、日常の診療の話、令和8年の今日までの分娩数を振り返ってみると全分娩数で230件。うち帝王切開7件で3.0%。麻酔なし分娩が5件で2.1%。無痛分娩は218件で94.8%で、だいたい例年通りの割合ですが、分娩数は今年も7~8%減で着地しそうです。(まだまだ余裕あります!)
そんな中で、ちょっと気になる分娩中のドッキリトラブルに「臍帯下垂」が今年7月に2件ありました。
羊水の袋の中で、臍の緒が一番先に出てくるはずの赤ちゃんの頭よりも前に来てしまうというもので、臍帯下垂がある状態で卵膜が敗れる「破水」が起きてしまうと、子宮口を通ってへその緒だけが腟の中や腟外に出てきてしまう「臍帯脱出」の危険性があります。「臍帯脱出」はへその緒が赤ちゃんの頭と子宮の出口に挟まってしまい、へその緒の血液が赤ちゃんに届かない状態になって、酸素が赤ちゃんにいかなくなる。大人でいうなら窒息の状態で緊急事態です。
当院での分娩の途中で起こった臍帯下垂は、子宮頚管拡張の目的で入れた水風船が抜けた後に経腟超音波検査で見つかることが大部分です。逆子の外回転術後に生じることもありますが、骨盤が狭い妊婦さんで、赤ちゃんの頭が骨盤内に入りずらい児頭骨盤不均衡の妊婦さんにも多いと思います。毎年年2~4件の臍帯下垂に遭遇しますが、先月続きました。
臍帯下垂の段階で発見された場合、破水したてしまった場合の緊急事態に備え手術室で緊急帝王切開の準備を進めながら、無痛分娩にも手術にも使える硬膜外麻酔をしてから、超音波検査をしながら臍帯を押し上げて還納します。そして臍帯が上がった時点で直ちに人工破膜をして、児頭で産道上部に蓋をして臍帯が降りてこないようにします。麻酔なしでは痛くて困難な手技だと思います。一般的には有無を言わさず緊急帝王切開が選ばれるのでしょうが、僕も冷や汗と力仕事の汗とで汗だくになりながら、なんとかうまくいくことが多いです。
今年の妊婦さんで、分娩当日朝に骨盤位を外回転で直して、その後臍帯下垂を用手還納できたのですが、分娩が止まってしまい帝王切開になった1件もありました。何とか経膣分娩してほしかったけど無理は出来ませんでした。
いろいろ予期せぬことがありますが、元気な赤ちゃんが生まれてくれれば、それぞれの努力も報われた気持ちになります。患者さんは心配しても何もできないので、代わりに僕たちが頑張らなくては・・・という心境で。
体と心の続く限りがんばります。 (^^♪
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